動作確認(3)以降のセットアップを動作確認する。
統合開発環境のカスタマイズ(3)で導入したwxWidgets project (K2)ウィザードでプロジェクトを作成する。このプロジェクトはそのままデプロイ(Deployバーチャルターゲットビルド)できるが、本記事はステップバイステップで動作確認する。本サイトの"デプロイ"はバージョン番号が統一管理されたインストーラの作成、ソースコードアーカイブファイルの作成、およびGit for Windowsリポジトリの更新と定義する。
外部情報
セットアップ手順
- プロジェクトの作成
- リポジトリの作成
- ビルド
- 日本語化
- HTMLヘルプの作成
- デプロイ
- インストーラの動作確認
- ソースコード解析ドキュメントの作成
- マスターブランチの更新
プロジェクトの作成
Desktop3プロジェクトを作成する。
- 統合開発環境Code::Blocksの[File|Open]で動作確認ワークスペース(C:\Users\user\MinGW\TestDrive\TestDrive.workspace)を開く。
- [File|New|Project]の[New from template]ダイアログ[Projects]ページからwxWidgets project (K2)ウィザードを起動する。
- イントロウィザードページが開き開発者情報を入力する。[Enter your information|Author]にあなたの名前、[...|Author's email]にメールアドレス、[...|Author's website]にウェブサイトURLを入力する。これらは空白文字列でも構わないが、ソースコードにコメントとして挿入されるためASCII文字列に限定して文字コード起因のトラブルを回避する。
- [Enter your information|Publisher]に発行者名を入力する。空白文字列であってはならずファイルシステムが認識できる名称とする。これもソースコードに挿入されるためASCII文字列に限定する。[Next]を押して次のウィザードページへ進む。
- プロジェクトパスウィザードページ。プロジェクト名とディレクトリを設定する。[Project title]にプロジェクト名としてDesktop3、[Folder to create project in]にプロジェクトディレクトリを作成するディレクトリとしてC:\Users\user\MinGW\TestDriveを入力する。[Next]を押す。
- プロジェクトコンフィグウィザードページ。ターゲットとGUIタイプを設定する。[Compiler|GNU GCC Compiler (32bit)]と[Compiler|GNU GCC Compiler (64bit)]の両方をチェックし、[GUI Application Type|Frame Based]を選択する。[Next]を押す。
- 追加ファイルウィザードページ。ビルドの対象としない追加ファイルを選択する。全てにチェックして[Finish]を押す。
- [Security Warning!]ダイアログが開いた場合は[Choose your action]ドロップダウンリストからMake this script as TRUSTED for this sessionを選択し[OK]を押す。
リポジトリの作成
Git for WindowsにDesktop3のリポジトリを作成する。
- [File|Save everything]で全ての変更を保存する。
- [Tools|Git|Commit]で自作ツールの[KGitWVer]ダイアログを開く。
- [Commit]のテキストボックスに任意のコメント(例えば"リポジトリの作成")を入力して[OK]を押す。[Tool Output]ウィンドウの文字化けは気にしない。
- ウィンドウズスタートメニューから[Attlassian|Sourcetree]でSourcetreeを起動する。
- [File|Open]の[Select repository working folder to view in Sourcetree]ダイアログでDesktop3プロジェクトディレクトリ(C:\Users\user\MinGW\TestDrive\Desktop3)を選択する。サイドバー[WORKSPACE|History]でリポジトリが正しく作成されている事を確認する。
- ツールバー[Git-flow]の[Initialise repository for Git-flow]ダイアログをデフォルトのままに[OK]を押してdevelopブランチを作成する。
ビルド
Desktop3をビルドして実行確認する。
- [Build|Select target|Debug32]を選び[Build|Build and run]でビルドしてアプリケーション実行する。アプリケーションのメインウィンドウが英語で表示される。[Help|Help]は何も表示しないが、[Help|About]は[Welcome to]ダイアログを開きバージョン情報を示す。[File|Quit]でアプリケーションを終了する。
- [Build|Select target|Release32]を選び同様の確認を行う。[...|Debug64]と[...|Release64]も同様とする。
日本語化
Desktop3を日本語化する。
- [Tools|Gettext|Get]を実行する。[KGetText]ダイアログがContinue to edit?と問いかけるので[はい]で応える。
- Poeditが起動するので翻訳テキストを定義する。[File|Save]してPoeditを終了する。
- Code::Blocksの[Build|Run]でアプリケーション実行し表示文字列が翻訳されているのを確認する。
翻訳ファイルは各ターゲットで共有され作成更新はプロジェクトで1回行うだけで良い。
HTMLヘルプの作成
Desktop3のHTMLヘルプファイルを作成する。
- [Tools|Doxygen|Create HTML Help]でヘルプファイルを作成する。
- [Build|Run]でアプリケーション実行し[Help|Help](翻訳後なので恐らく[ヘルプ|ヘルプ])でHTMLヘルプファイルを表示する。
HTMLヘルプファイルは各ターゲットで共有され作成更新はプロジェクトで1回行うだけで良い。
デプロイ
Deployバーチャルターゲットビルドでデプロイを自動実行する。
- [Build|Select target|Deploy]を選び[Build|Rebuild]する。[Rebuild project]ダイアログに[Yes]で応える。
- Release32および/またはRelease64ターゲットがリビルドされ、HTMLヘルプファイルが再作成され、インストーラが作成される。
- 自作ツール[KGitWVer]ダイアログが開く。[Commit]のテキストボックスに任意のコメント(例えば"デプロイのテスト")を入力して[OK]を押す。
- 以下のファイルがプロジェクトディレクトリ階層下に作成されている事を確認する。
- インストーラinnosetup\Desktop3-0.0.0.0.exe
- ソースコードアーカイブファイルarchive\Desktop3-0.0.0.0.zip
- Git for Windowsで0.0.0.0というタグの付いたコミットが作成されている事を確認する。
Deployバーチャルターゲットは最後にバージョン番号データファイルを更新してリポジトリにコミットされていない変更(Uncommitted changes)を加えるが通常そのままで構わない。ただし本記事は最後にmasterブランチをdevelopブランチにマージするため、これをコミットしておかないとマージできない。
- [Git|Commit]で自作ツール[KGitWVer]ダイアログを開き[Commit]のテキストボックスに任意のコメント(例えば"リビジョン番号の更新")を入力して[OK]を押す。
インストーラの動作確認
デプロイで作成したインストーラを動作確認する。
- インストーラを実行しアプリケーションをインストールして実行を確認する。
- イントロウィザードページで発行者名(Publisher)としてPublisherNameが与えられていたと仮定して、以下が作成されている事を確認する。
- ディレクトリC:\Program Files\PublisherName\Desktop3
- スタートメニュー[PublisherName|Desktop3]
- レジストリHKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\PublisherName\Desktop3
- ウィンドウズ[設定|アプリ|アプリと機能]に正しいバージョン番号と共に表示されているのを確認してアンインストールする。
- インストーラの作成したディレクトリ、スタートメニュー、レジストリが削除されている事を確認する。
ソースコード解析ドキュメントの作成
Desktop3のソースコード解析ドキュメントを作成する。
- [Tools|Doxygen|Analyze sources]でソースコード解析ドキュメントをHTML型式で作成する。
- [Tools|Doxygen|Run HTML]でドキュメントを確認する。ページ右上のバージョン番号を確認する。
マスターブランチの更新
masterブランチにdevelopブランチをマージする。
- [File|Save everything]で全ての変更を保存してCode::Blocksを終了する。
- Sourcetreeサイドバー[BRANCHES|master]をダブルクリックしてmasterブランチをチェックアウトする。
- [Repository|Merge]の[Pick a commit to merge into your current branch]ダイアログでdevelopブランチを選択して[OK]を押す。
- サイドバー[BRANCHES|develop]をダブルクリックしてカレントブランチをdevelopに戻す。